「ヒト」が生き生きと働ける環境を考えるブログ

私が約17年間勤めた会社を辞めようとしている理由と、まつわる原因を分解していきます。経営者や管理職の皆さんに、ふと考えて頂きたいことを記事にしています。

仕事で与えた感動とやりがい(後輩Aさん)

「ありがとう」と言われたことは誰でもあると思いますが、「感動しました」と言われたことはありますか?

 

私は、これまでにも感動した記事をいくつか書いております通り、心の中で自分が勝手に感動していることは沢山ありますが、相手に「感動しました」と直接お伝えすることは、あまりないです。

「すごいですね」「感謝します」など、気持ちを率直に伝えることはありますが、「感動しました」というフレーズは出てこないです。

しかも、仕事上で「感動しました」と言える感動って、どんなことだと思われますか?

 

今さらですが、「感動」の意味を辞書で引くと

 と、あります。

  

私は、営業指導を行うことになったAさんの営業に初めて同行することになったときに、Aさんがどう動こうとしているのか、事前にヒアリングを行いました。

私にとっても、営業を専門とする担当者への指導は初めてだったので、予定が決まったときから、事前に教えてほしいことや事前に確認しておきたいことがあり、成果をあげるために作戦を練っておきたかったのですが、2日前にようやくもらった報告も、内容を見ても何がしたいのか意味がわかりませんでした。

しびれを切らして、出張中のAさんに「明日の道中で良いので、添付ファイルの内容に目を通した結果について、Aさんの見解を教えて欲しい」と連絡しました。

添付ファイルは、「私が営業担当者だったら、こう考える」といった内容を、これまでの引き合い状況を分析した上で、私の考えをA4で1枚にまとめたものでした。

 

翌朝Aさんは、私が出社するやいなや「昨日はご連絡ありがとうございました。添付ファイルにとても感動しました。」と言ってきました。

 

私がしびれを切らして纏めた資料に「感動しました」と言われ、ずっこけそうになった気持ちを抑えつつ、Aさんに何に感動したのかを聞いてみました。

  • 自分のために、先輩がここまでの資料を作ってくれたこと
  • 自分の考えが、この内容に至っていないことが良くわかったこと

主に上記2点だったようですが、Aさんにとっては、目から鱗の資料だったようです。 

 

中途入社3年目で、私より一回り年下のAさんですが、年齢からすると、もう若手ではありません。しかも、入社3年目ですから、そろそろ先輩面で行動できて当然かと思うのですが、あまりにも考え方が貧困なのです。

本人の思考や行動力にもよると思いますが、加えて、周りが「気づきの機会を与えられていない」ということを理解しました。

 

Aさんの上司は素晴らしい上司で、その方の指導内容に私は一目おいているのですが、「言葉だけ・言うだけ」では響かないヒトもいます。

Aさんは、その類のようです。今回の資料は、その上司の方が普段言っていることと同じようなことをを具体例で纏めただけなのですが、それが響いたようです。

 

しかし、毎回、こんなに手を加えた指導をするわけにもいきません。一度、そういった資料を手にしたからといって、それで能力がすぐに上がるわけでもありません。

良いと思ったのであれば、自分で行動してみなくては、身につきません。

 

「ヒト」によって、何がきっかけで気づくのか、そして行動に繋げていけるのか、様々です。そして、指導する側は、効果的に指導をしなくては、いつまでも対象の「ヒト」が伸びません。

何が効果的なのかは、対象の「ヒト」をよく理解して話をし、コミュニケーションを繰り返すことに尽きると思います。

 

Aさんへの指導を初めて5カ月目に入りました。

今日はAさんが社内で取りまとめた企画のプレゼンに初めて同行しましたが、5カ月前に比べると成長したと思います。

でも、一人前になるには、もう少し時間がかかりそうです。

 

人材育成には時間がかかります。

本人が気づかなければ、いくら時間をかけても育ちません。

 

企業は、何年かけて「ヒト」を育てていきたいと考えているのでしょうか。

人材不足の昨今、短期間で「ヒト」を育て、できるだけ長く在籍してもらいたいはずですよね。

経営者や管理職の皆さまには、「ヒト」の育成のあり方を、しっかり考慮頂きたいものです。